<第104回ミシガン金曜会研究発表会> 日時:2018年10月26日(金)、午後6時~午後8時30分頃 会場:BSRB #4515 (109 Zina Pitcher Pl, Ann Arbor) 発表者:金森拓也先生(公共政策大学院フォードスクール2年生)、服部公平先生(Postdoctoral Researcher, Department of Astronomy)
演題内容 <発表者> 金森拓也(かなもりたくや) 公共政策大学院フォードスクール2年生(Master of Public Policy Candidate, 2019)
<発表内容> 発表題目:ミシガン大学公共政策大学院フォードスクール 〜私企業視点からの考察〜 「公共政策大学院って何を学ぶの?そこで勉強する意味・価値は?」
発表内容: 生活する上で公共政策と関係なく暮らすというのはまず不可能です。でも、公共政策ってそもそも何でしょうか?また、公共政策大学院では何を学んでいるのでしょうか?関わりが深いのにあまり深く知られていない公共政策について、主にフォードスクールでの学習内容・生活に絡めて発表します。カリキュラム内容や所属学生の特徴等の基本的なことから、重要なキーワード、そこで学ぶ意味・価値等、様々なことをトピックにして発表します。 また、フォードスクールの日本人留学生の多くは官公庁出身の方々ですが、私は私企業から派遣されています。一見畑違いと思われる一私企業社員から見たフォードスクールの価値を発表することで、研究者の皆様がよりフォードスクールに興味を持っていただけること、また、皆様とフォードスクールの人たちとの結びつきが強くなることを期待して発表いたします。これを機に皆様の技術を活かすための選択肢が増えればとても嬉しく思います。 ――――――――――――――――――――――――――――――――― <発表者> 服部公平 (はっとり こうへい) Postdoctoral Researcher Department of Astronomy, University of Michigan
<発表内容> 発表演題:銀河系の3次元地図と、正体不明の暗黒物質の分布
発表内容: 天文学者と聞くと、皆さんの中には「星座に詳しそう」「ロマンチストっぽい」などというイメージを持つ方もいらっしゃるかも知れません。実際には、星座に詳しい人はむしろ少数派ですし、私も夜空を眺める時間よりパソコンの画面を眺めている時間の方が圧倒的に長い毎日です。とは言え、毎日の中で宇宙に考えを巡らせる時間は、普通の人よりはかなり長いはずです。講演では、現代の天文学者が宇宙をどのように捉えており、どんな面白い発見が予想されているのかについて、私の研究分野の周辺に絞ってお話したいと思います。
地球が太陽の周りを1年かけて公転する一方で、太陽は「天の川銀河」の中を2億年かけて公転しています。この「天の川銀河」というのは、太陽のような星が1000億個集まった集団です。宇宙には天の川銀河以外にも、お隣のアンドロメダ銀河など、たくさんの銀河があります。一方で、銀河と銀河の間には、ほとんど星はありません。銀河を植物の育つ(星の生まれる)「オアシス」に例えれば、銀河と銀河の間は不毛な(星の生まれない)「砂漠」が広がっている、というような描像だと言えます。宇宙には無数の銀河がありますので、「宇宙の歴史」とはすなわち「銀河たちの歴史」なのです。
さて、私は銀河の中でも、人類の住む「天の川銀河」の歴史を研究しています。宇宙全体の歴史を「世界史」に例えれば、天の川銀河の歴史は「日本史」に対応するわけです。日本史の理解が世界史の理解を深めるのと同じように、天の川銀河の歴史は宇宙全体の歴史を知る上で重要なステップなのです。意外かもしれませんが、「歴史」を知る上ではまず「地図」を作らなければなりません。原理としては、「地図上のこの位置に山があるということは、過去にここからマグマが噴き出たのだ」と推理をするのと同じです。そこで私は、欧州宇宙機関(ESA)が打ち上げた人工衛星Gaia (ガイア)の13億天体の観測データを解析して、天の川銀河の3次元の地図を作っています。
この地図を作る過程で、様々なことがわかりました。例えば、従来から天の川銀河には正体不明の「暗黒物質 (dark matter)」(光を放たず、吸収せず、反射もしないけれど重さはもつ物質)が、普通の物質(水素や酸素のような「元素」を組み合わせた物質)の「5倍から10倍」多いことがわかっていました。「5倍から10倍」でも十分不思議ですが、どうやらより正確には「10倍以上」だとわかってきたのです。講演では、これらの最新のトピックをなるべく平易にご説明いたします。
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